【携帯電話の歴史】1Gから6Gへ

試験

ポケットに収まる小さなデバイスで世界中と繋がれる現代の携帯電話。しかしこの便利な通信機器が今日の姿になるまでには長い進化の歴史がありました。

無線通信の初期実験からスマートフォンの普及そして未来の6G技術まで携帯電話は私たちの生活様式を根本から変えてきた革命的技術です。

本記事では携帯電話技術の歴史を振り返りながら各世代(G)の特徴と社会への影響を詳しく解説していきます。

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携帯電話誕生前夜:無線通信の黎明期

businessman-making-a-call-on-a-vintage-mobile-phone 【携帯電話の歴史】1Gから6Gへ

初期の構想と実験

携帯電話の原点は20世紀初頭の無線通信技術にさかのぼります。1920年代には警察無線が移動体通信の初期形態として登場し車両に設置された無線機で本部との通信が可能になりました。この技術は現代の携帯電話とは大きく異なりますが「移動しながら通信する」という基本コンセプトの先駆けとなったのです。

第二次世界大戦後の1946年、アメリカ・ミズーリ州セントルイスで初めての携帯電話サービスが開始されました。これは現代の携帯電話とはかなり違うものでした。基本的には双方向の無線システムで通話を接続するためにはオペレーターが必要でした。

今でこそ当たり前に思える「セルラーネットワーク」の概念が開発されたのは1960年代のことです。このアイデアはサービスエリアを小さな「セル(細胞)」に分割しそれぞれに低出力の送受信機を設置するというものでした。この革新的な方法によって周波数の効率的な利用が可能になりより多くの同時通話が実現しました。これが現代の携帯電話ネットワークの基礎となったのです。

最初の携帯電話の誕生

携帯電話の歴史において特筆すべき出来事が1973年に起こりました。モトローラのエンジニア、マーティン・クーパーが世界初の携帯電話による通話を成功させたのです。彼が使用した試作機は10年後の1983年に「モトローラDynaTAC 8000X」として市販されることになります。

このレンガサイズの初期携帯電話は通話時間はわずか30分で充電には10時間もかかりました。当時としては非常に画期的でした。注目すべきは50年以上前にすでに夜間に充電しておけば日中に短時間の通話を数回行える技術が実現していたということです。当時の販売価格は4000ドル近くと非常に高価でしたが携帯電話という革命的なデバイスの幕開けとなりました。

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携帯電話の進化:1Gから3Gまで

1G:アナログ時代の幕開け(1980年代)

1980年代に入ると第一世代(1G)の携帯電話ネットワークが登場します。

これは本格的なアナログ音声通信システムで携帯端末での通話が一般に広まり始めた時代です。単なる通信技術というだけでなく人間同士のパーソナル・コミュニケーションに革命をもたらしました。

1983年に市販されたモトローラの「DynaTAC 8000X」は携帯電話市場の誕生を象徴する製品でした

高価で大型ではありましたが技術的に重要な一歩となったのです。当時の携帯電話は重さと大きさから「バックパッカーになれる」とも皮肉を込めて言われていました。主にビジネスマンが使用する高級アイテムでした。

しかし1Gには多くの問題点もありました。アナログ信号を使用していたため干渉の影響を受けやすく音声品質が低いという欠点がありました。また周波数帯域の非効率な使用により容量も限られ少数のユーザーしかサポートできませんでした。カバレッジも大都市や高速道路に限られセルタワー間のハンドオフ(通信の引き継ぎ)もスムーズではありませんでした。さらにアナログ信号は盗聴されやすいというセキュリティ上の問題もありました。

代表的な1Gネットワークには北欧諸国のNMT(Nordic Mobile Telephone)システムや米国のAMPS(Advanced Mobile Phone System)があります。国や地域ごとに独自規格が採用されており国際的な互換性はありませんでした。

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2G:デジタル革命の始まり(1990年代)

1990年代初頭に登場した第二世代(2G)携帯電話は通信に初めてデジタル信号を使用しました。これにより通話品質とセキュリティが大幅に向上しサービス面でも飛躍的な進歩を遂げたのです。

2Gの大きな特徴はSMS(ショート・メッセージ・サービス)の導入でした。これによりユーザー間でテキストメッセージのやり取りが可能になりました。またGPRSやEDGEといった技術により低速ながらもデータ通信の基盤も築かれました。

Using 2G cell service In 2022 using US Mobile featuring a Nokia 3390!

フィンランドで最初に導入されたGSM(Global System for Mobile Communications)は世界で最も広く採用された2G標準となりました。実際、2G時代はGSMという言葉の方が一般的だったかもしれません。

2Gでは1Gの多くの課題が解決されました。デジタル信号の使用により音声品質が向上しノイズや干渉が減少しました。またデジタル変調技術によって電波スペクトルの効率的な利用が可能になりネットワーク容量が大幅に増加しました。さらに通信の暗号化によりプライバシーとセキュリティも強化されたのです。

特徴1G2G
信号方式アナログデジタル
主なサービス音声通話のみ音声通話、SMS、低速データ通信
セキュリティ低い(盗聴可能)高い(暗号化あり)
通話品質干渉を受けやすい比較的安定
代表的な規格AMPS、NMTGSM、cdmaOne
登場時期1980年代1990年代

3G:モバイルインターネットの到来(2000年代前半)

2000年代初頭に導入された第三世代(3G)はモバイルデバイスに高速インターネットアクセスをもたらし2Gでは実現不可能だった幅広いデータサービスを可能にしました。

3Gネットワークは数Mbpsという当時としては高速なデータレートを提供しモバイルでのインターネット閲覧、電子メール、ビデオ通話、マルチメディアサービスを快適に利用できるようになりました。CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)やUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)などの技術により帯域幅が広がりスペクトル効率も向上。より多くのユーザーや大容量のアプリケーションをサポートできるようになったのです。

また3G技術、特にUMTSの標準化により異なる国やネットワーク間の互換性と相互運用性が向上しグローバルなローミング機能が強化されました。これにより国際的な移動中でも継続的な通信が可能になりました。

3Gの登場は現代のスマートフォン時代への道を開きました。高速データ転送と拡張機能により高度なモバイルオペレーティングシステムとアプリストアが主流となりモバイルアプリケーションやサービスが爆発的に普及。人々のモバイル機器の使い方が根本的に変化したのです。

日本では2000年代初頭の「ガラケー」と呼ばれる折りたたみ式携帯電話でもすでにインターネット利用が可能になっていました。iモードやEZwebといったサービスを通じて専用のモバイルサイトを閲覧できたのです。高校生がプリクラを貼った携帯電話で友達とメールをしたりウェブを見たりするのが当たり前だった時代です。

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スマートフォンの台頭と高速通信の発展

スマートフォン革命(2007年~)

2007年、携帯電話の歴史に大きな転換点が訪れました。アップルが初代iPhoneを発表したのです。タッチスクリーンを全面に採用したこの革新的なデバイスは従来の物理キーボードを排除し直感的な操作性を実現しました。iPhoneの登場以前にもザウルスやブラックベリーといったスマート機能を持つモバイル端末がビジネスマンを中心に使われていましたがiPhoneはその使いやすさと洗練されたデザインで一般消費者の心を掴みました。

初代iPhoneのデザインは今日のモデルにも継承されておりその完成度の高さを物語っています。タッチスクリーンのインターフェースは今では当たり前ですが当時は革命的でした。この端末の最も画期的な点の一つが「App Store」の導入です。これによりサードパーティ開発者が作成したアプリケーションを簡単にダウンロードして使用できるようになり携帯電話はより主体的な多機能コンピューティングデバイスへと変貌を遂げました。

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2008年にはGoogleが開発したAndroidオペレーティングシステムを搭載したスマートフォンが登場します。元アップルのアンディ・ルービンらが設立したAndroid社(のちにGoogleに買収)によって開発されたこのプラットフォームは複数のメーカーが採用することで急速に普及しスマートフォン市場の二大勢力の一角を形成するようになりました。

スマートフォンの普及により携帯電話は単なる通話装置から多機能端末へと進化。生産性向上、教育、娯楽、健康管理、ゲームなど様々な目的のために何百万ものアプリが開発され私たちの生活様式を根本から変えていきました。

4G:モバイルブロードバンドの実現(2000年代後半~2010年代)

2000年代後半に導入された第四世代(4G)はモバイルブロードバンド機能の大幅な飛躍をもたらしました。HDテレビ、高画質ビデオストリーミング、高度なゲーム体験を可能にする高速データ通信によりスマートフォンの可能性がさらに広がったのです。

4Gの主要技術であるLTE(Long Term Evolution)およびその発展形のLTE-Advanced(LTE-A)は3Gの数倍のデータ転送速度を実現しました。LTE-Aではダウンロード速度が1Gbpsに近づくこともありモバイル端末でも本格的な高速通信が可能になりました。

また4Gネットワークは音声(VoLTE:Voice over LTE)とデータサービスの両方で完全にIPベースとなりより効率的で統一された通信プロトコルが確立されました。MIMO(Multiple Input Multiple Output:多入力多出力)のような先進的なアンテナ技術や高度な変調方式によりネットワーク容量と効率が向上し急増するモバイルデータ消費を支えることができたのです。

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4Gの普及は社会経済にも大きな影響を与えました。モバイルインターネットサービス、ソーシャルメディア、モバイルコマース、シェアリングエコノミーの成長を促進し日常生活やビジネスの多くの側面を変革したのです。Uber、Airbnb、Instagram、TikTokといった今や当たり前のサービスは4Gの高速通信があってこそ普及したサービスといえるでしょう。

現在と未来の通信技術

5G:超高速・超低遅延の新時代(2019年~)

2019年に世界的な展開が始まった第五世代(5G)は通信技術の新たなフロンティアを開拓しています。超高速データ接続、低遅延、大容量ネットワークを提供することで急成長するIoT(Internet of Things:モノのインターネット)をサポートし自動運転車、スマートシティ、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)などの新しいアプリケーションを可能にしています。

5Gの特徴は主に3つあります。まず「強化されたモバイルブロードバンド(eMBB)」。

これは速度と容量を飛躍的に向上させピーク時のデータ転送速度は最大20Gbpsを目指すものです。次に「超高信頼低遅延通信(URLLC)」。遠隔手術や自動運転などリアルタイムのフィードバックを必要とするアプリケーションに不可欠な1ミリ秒という低遅延の超信頼接続を提供します。

そして「大規模マシン型通信(mMTC)」。これは高密度エリアにおける膨大な数のデバイス接続をサポートしスマートシティや産業におけるIoTデバイスの広範な展開を可能にするものです。

5Gはミリ波帯を含む幅広い周波数を利用しています。

ミリ波帯は帯域幅が広いものの通信距離が短いため従来のセルタワーに加えスモールセルと呼ばれる小型基地局の高密度ネットワークが必要となります。現在、世界中の通信事業者が5Gネットワークの展開を進めておりスマートフォンメーカーも5G対応端末を次々と市場に投入しています。

5Gの登場によりARやVR、8K動画ストリーミング、クラウドゲーミングといった大容量データ通信を必要とするサービスがモバイル環境でもストレスなく利用できるようになりつつあります。また工場や医療現場での遠隔操作、スマートシティにおける大規模センサーネットワークなどこれまで実現が困難だった用途も可能になってきています。

6G:次世代通信の展望(2030年代~)

5Gの展開がまだ途上にある現在ですがすでに第六世代(6G)の研究開発が始まっています。

6Gは通信、自動化、コンピューティング能力にさらなる革命をもたらすと期待されており2030年以降の実用化が予測されています。

6Gのビジョンは人工知能(AI)をネットワークの中核に深く統合しインテリジェントで適応性の高いネットワーキングを実現することです。目標にはさらに高速なデータレート(最大1Tbpsの可能性)、極限までの低遅延、高信頼性が含まれさらに広範なデバイスとアプリケーションのエコシステムをサポートすることが想定されています。

技術面ではテラヘルツ(THz)周波数帯域の使用、高度な空間多重化技術、衛星通信を組み込んだ新しいネットワークアーキテクチャなどの革新が研究されています。

これにより高忠実度のホログラフィック通信、物理世界と統合した広帯域AIサービス、超精密な位置特定とセンシング機能などの高度なアプリケーションの実現が期待されています。

ただし6Gの実現には周波数帯の割り当て、エネルギー消費の最適化、国際標準化への取り組みなど技術的、規制的、インフラ的な課題が山積しています。フィンランドなど一部の国々ではすでに6Gの研究が活発に行われていますが実用化までの道のりはまだ長いと言えるでしょう。

Finland’s 6G vision for 2030

Q&Aコーナー

1G、2G、3Gなどの「G」とは何を意味しているのですか?

「G」は「Generation(世代)」の略で携帯電話の通信技術の世代を表しています。

各世代は前の世代から大きく進化し新しい機能や高速化を実現しています。1Gはアナログ音声通話、2Gはデジタル音声とテキストメッセージ、3Gはモバイルインターネット、4Gは高速データ通信、5Gは超高速・低遅延通信と段階的に進化してきました。

日本の携帯電話の歴史には何か特徴がありますか?

日本は独自の携帯電話文化を発展させてきました。1999年にNTTドコモが「iモード」を開始し世界に先駆けてモバイルインターネットを普及させました。

またカメラ付き携帯電話、おサイフケータイ(モバイル決済)、ワンセグ(モバイルTV)など多くの革新的機能が日本で先行導入されました。2000年代のガラケー(ガラパゴス携帯)時代には世界市場とは異なる進化を遂げましたがiPhoneの登場以降はグローバルなスマートフォン市場に収束していきました。

6Gはどのような未来をもたらすのでしょうか?

6Gは単なる通信速度の向上だけでなく現実世界と仮想世界の融合を促進すると予測されています。

ホログラフィック通信、超高速のIoT接続、AIの完全統合、拡張現実と仮想現実の一層の進化などが期待されています。

これにより自立型ロボット、スマートシティインフラなどの分野で5Gを超える革命的な変化が起こる可能性があります。6Gはより持続可能なエネルギー効率の高いネットワークを目指しており地球環境への配慮も重視されています。

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