NFC 日本とヨーロッパの合作技術。あなたも日々使っているはず

試験

NFCって何? 多分あなたも持っています。

近距離無線通信であるNFC(Near Field Communication)は、電子機器間の簡単で安全な双方向通信を可能にする近距離無線技術だ。

具体的には通常4cmまでの短い距離を無線でデータ転送するための通信プロトコルのセットである。特にスマートフォンに適しており、消費者はワンタッチで非接触型の支払い取引やデジタルコンテンツへのアクセス、電子機器の接続を行うことができる。

様々な使用例

といってもわかり辛いかもしれないが、NFC技術はちまたにあふれている。Apple PayやGoogle Walletなどは非接触型決済システムの典型的な例だ。これらのシステムにより、ユーザーは店舗やアプリ、ウェブ上で安全に買い物をすることができる。さらに、ユーザーはメッセージの中で友人や家族からお金を送ったり受け取ったりすることもできる。

NFCは、連絡先、写真、ビデオやファイルの共有、マルチプレイヤーモバイルゲームへの参加など、ソーシャルネットワーキングの場面でも使用されています。こうした例としてはAndroid Beam が挙げられ、これはNFC を使用してペアリングを可能にし、より大きなファイル転送のためのBluetooth 接続を確立するものである。

ヘルスケアにおいてはNFC は患者の識別やデータ転送を簡略化するために使用されます。患者は自分の病歴を含むNFC 対応カードを携帯し、医師はNFC リーダを使用してこの情報に素早くアクセスすることができます。これは、患者が反応しない緊急時に特に有用となる可能性があります。

いわゆるスマートホームでの使用もある。NFCにより多数のIoT デバイスを接続し管理するために使用することができます。具体的にはスマホやウェアラブルをタップするだけで、自宅の照明、温度、セキュリティシステムを制御することができる訳です。

NFC技術の実践的なパイオニア 日本のパスモ/スイカシステム

公共交通機関はNFC が定番となっている一大ジャンルです。バス、電車、または地下鉄に乗るためのチケットやパスとして使用することができます。例えば日本のPASMOやロンドン地下鉄のオイスターシステムは乗客がNFC 対応のカードを使ってシステムに出入りすることを可能にしています。

特に日本のPasmo/SuicaのシステムはNFCの世界規格が定まるよりも早い2001年から始まる。そしてその後数年で世界の乗降客数ランキングトップの東京の新宿駅を筆頭に、乗降客数ランキングの上位のほとんどを占める日本の多くの駅では即座に切符切りの人が消え自動化されていった。

現在では一枚のカードで日本全国のほとんどの鉄道とバスが乗り降りでき、更にコンビニやスーパーなどでも使え、現金やクレジットカードがなくてもこれだけで平気なほどです。さらにはクレジットカード機能付きのPASMOもあるし、PASMO機能をスマートフォンに内蔵することも可能だ。

スイカとパスモ、NFCカードの定番

NFCの歴史 ソニーとフィリップス

NFCは以前のRFID(Radio-Frequency Identification)技術から発展したもので、13.56 MHzの同じ周波数で作動する。この技術の開発は2000年代初頭に本格的に始まった。RFIDはすでに数十年にわたり使用されていたが、NFCはプロトコルを簡素化し、より安全な機器間の双方向通信を可能にすることを目的としていました。

語弊があるかもしれないのでRFIDについても。RFIDはNFCの登場でなくなった訳ではない。小売店でも目にするかもしれないが、現役で使われている技術である。長距離の追跡や識別に向いたテクノロジーとして昔から使われ、現在では更にタグなどが安価になりより多方面に使われるようになっているのだ。

話を戻そう。2002年にヨーロッパと日本の大企業、フィリップスとソニーは共同でNFC規格の創設を発表する。既に実用されていたフィリップスのMIFAREとソニーのFeliCaというそれぞれの技術を組み合わせ、新しい規格を作ったのだ。

2004年、ソニー、フィリップス、そしてノキアはNFCフォーラムを設立し、NFC技術の採用、標準化、実装を促進することを目的とした非営利の業界団体となる。フォーラムはその年の暮れに最初のNFC 仕様を発表し、将来のNFC 実装の基礎となるアーキテクチャーとプロトコルを概説した。

技術は当初ゆっくりとした普及であったが時間の経過とともにその用途は多様化し始める。当初は上記のように主に公共交通機関や安全なアクセス用の非接触型スマートカードに使用されていた。が、やがてNFCはスマートフォンの普及にも伴って、消費者向け電子機器にも使われるようになる。大きな転機の1つは携帯電話へのNFC技術の搭載であり、Nokiaは2006 年に同社の6131 モデルにNFCを導入した先駆者の1つである。

その後、タブレットやラップトップ、さらには一部のデジタルカメラなど、様々な機器にNFCが導入されました。用途はモバイル支払いにとどまらず、データ共有(連絡先情報や写真のような)、イベントや公共交通機関のチケット発券、デバイスの設定や接続を容易にする手段へと現在も拡大中である。

既に日本では2000年代に携帯電話での決済は普及していたが、2011年に開始されたグーグル・ウォレット(Google Wallet)と2014年に開始されたアップル・ペイ(Apple Pay)は、特にスマートフォンでのモバイル・ペイメントの文脈において、NFC を世界的な主流利用へと押し上げる上で重要な役割を果たす。

このグーグルウォレットとアップルペイによって、欧米や日本のような先進国だけでなく、特に発展途上国において爆発的にNFC決済は普及することになった。先進国ではクレジットカードやデビットカードは一般的な手段であるが、このセキュリティが高いNFC決済という新手段はクレジットカード保有率の低い国の消費者にも買い物を一気に簡単かつ便利にしたのだ。

先述した通り多用途性は高く、決済だけならず広い活用可能性のあるNFC技術は様々なワイヤレス通信アプリケーションにとって魅力的な技術となっている。

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