ゲーム開発を始めようと考えている方や、現在のプロジェクトに最適なゲーム開発エンジンを探している開発者にとって、Unreal EngineとUnityの選択は重要な決断です。
この二つのエンジンはゲーム開発業界の最前線に立ち、それぞれ独自の強みと特徴を持っています。グラフィック品質、使いやすさ、パフォーマンス、そして価格モデルなど、様々な観点からこれらのエンジンを比較してあなたのプロジェクトに向いているのはどちらかが今回のこの記事でわかるはずです。
グラフィックとパフォーマンスの比較
視覚表現の違いとレンダリング機能
Unreal Engineは高忠実度のグラフィックで知られていて主にAAAタイトル(大規模予算の商業ゲーム)で採用されています。リアルタイムレンダリング技術と洗練されたライティングシステムにより、フォトリアルな映像表現が可能です。
一方、UnityもHDRPと呼ばれるハイデフィニションレンダリングパイプラインの導入により、高品質なビジュアル表現を実現していますが、初期設定のままではUnreal Engineほどの視覚的インパクトを与えないことがあります。
Unreal Engineのシネマティックレンダリングやビジュアルエフェクトは特に優れており、映画制作や建築ビジュアライゼーションなどの分野でも広く採用されています。「The Matrix Awakens」などのデモは、同エンジンの視覚表現力の高さを証明しています。
システム要件と対応プラットフォーム

システム要件の観点からは、Unreal Engineは主にハイエンドハードウェア向けの設計となっています。リアルタイムで高度なグラフィック処理を行うため、より強力なCPUやGPUを必要とすることが多いでしょう。
一方でUnityは比較的軽量で、性能の低いマシンでも利用しやすい特徴があります。モバイルデバイスやWebGL向けの開発では、この点が大きな利点となることも少なくありません。
両エンジンともにPC、コンソール、モバイル、VR/ARなど幅広いプラットフォームに対応していますが、Unityはより多くのプラットフォーム(約25以上)をサポートしており、クロスプラットフォーム開発において柔軟性が高いと言えるでしょう。
開発手法とプログラミング言語
ビジュアルスクリプトvs. コード中心の開発
Unreal Engineは「ブループリント」と呼ばれるビジュアルスクリプトシステムを採用しています。これにより、高度なプログラミング知識がなくてもノードを接続してゲームロジックを作成することが可能です。このアプローチは、アーティストやデザイナーなど、コーディングに不慣れな開発者にとって大きな利点となっています。
一方、Unityは主にC#というプログラミング言語でスクリプトを記述します。コード中心のアプローチにより、より柔軟で細かい制御が可能ですが、プログラミングスキルがより求められることになります。Unityにもビジュアルスクリプティングツール(Bolt、Playmakerなど)が存在しますが、Unreal Engineのブループリントほど統合されていません。
両エンジンとも「ホットリロード」機能を備えており、開発者はコードやブループリントの変更をリアルタイムで確認できます。この機能は、開発の反復サイクルを短縮し、効率的な作業を可能にします。
言語の特性と学習曲線
Unreal Engineのネイティブ言語であるC++は強力ですが、習得に時間がかかります。
メモリ管理や最適化など低レベルの制御が可能で、極限までのパフォーマンスチューニングができる反面、初心者には複雑に感じられることもあるでしょう。
Unityで使用されるC#は、比較的学びやすい現代的な言語です。自動メモリ管理(ガベージコレクション)を備えており、開発者はメモリ管理よりもゲームロジックに集中できます。また、Microsoftの.NETエコシステムの一部であるため、関連する豊富な情報やライブラリも利用できる利点があります。
初心者にとっては、C#の方が学習曲線が緩やかですが、ゲームの規模が大きくなると、C++のパフォーマンス上の利点が重要になってくることもあります。
データ管理とアセットシステム
Unityのスクリプタブルオブジェクトの力
Unityには「スクリプタブルオブジェクト」と呼ばれる機能があり、より柔軟なデータ管理が可能です。これはMonoBehaviourとは異なり、シーン内のGameObjectに紐付ける必要がなく、独立したデータコンテナとして機能します。
スクリプタブルオブジェクトを使うことで、次のような利点があります
- メモリ使用量の削減:GameObjectのオーバーヘッドなしにデータを保存できる
- ワークフローの改善:デザイナーはコードを変更せずに値を調整可能
- 再利用性と組織化:データは異なるシーンやプロジェクト間で共有できる
- 効率的なデータ共有:複数のコンポーネントが同じデータソースを参照可能
例えば、RPGゲームの武器データやキャラクターステータス、ゲームの設定など、様々なデータをスクリプタブルオブジェクトとして管理することで、整理されたワークフローを実現できます。
アセットストアとマーケットプレイス
アセット面では、Unreal Engineの「マーケットプレイス」は高品質なアセットを提供していますが、Unityの「アセットストア」と比較すると選択肢の数は限られています。
Unityのアセットストアはより多様で豊富なアセットを提供しており、小規模な開発チームやインディー開発者にとって、開発コストを抑えながら質の高いコンテンツを作成するための重要なリソースとなっています。
Unreal Engineのマーケットプレイスのアセットは一般的に高価ですが、品質も高い傾向があります。特にAAAタイトルのような高品質な見た目を目指すプロジェクトには適しているでしょう。
ライセンスモデルと費用
収益分配 vs. サブスクリプション方式
ライセンスモデルも両エンジンで大きく異なります。Unreal Engineは基本的に無料で使用できますが、商用プロジェクトが100万ドル以上の収益を上げた場合、総収益の5%をロイヤリティとして支払う必要があります。
対照的に、Unityはロイヤリティのないサブスクリプション方式を採用しています。個人開発者向けの「Personal」プラン(収益や資金調達が10万ドル未満の場合は無料)から、より機能が充実した「Pro」「Enterprise」プランまで、段階的な料金体系となっています。
2023年9月に発表されたUnityの新たな課金体系「Unity Runtime Fee」は、一定のインストール数を超えたゲームに対して追加料金を課すという内容で、開発者コミュニティから大きな反発を受けました。その後、Unityはこの方針を修正し、従来のサブスクリプションモデルを中心とした仕組みに戻しています。
どちらのモデルが有利かは、プロジェクトの規模や予算、収益見込みによって異なります。小規模なインディーゲームであれば、Unreal Engineのロイヤリティフリーの範囲内で開発できる可能性が高いでしょう。大規模なプロジェクトや、高い収益が見込める場合は、計算してみる必要があります。
特化分野と活用場面
2Dゲーム開発とVR対応
Unityは特に2Dゲーム開発において高い評価を得ています。統合された2Dツールセットとティレマップエディタ、スプライト管理システムなどが充実しており、2Dゲーム開発のワークフローが最適化されています。
一方、Unreal Engineも2D開発をサポートしていますが、その強みは3D開発にあります。Paper2Dという2Dフレームワークを提供していますが、Unityの2Dツールほど充実していません。
仮想現実(VR)開発においては、Unreal Engineが一般的なVRハードウェア用のネイティブ統合機能を備えていることが強みです。Oculus Quest、HTC Vive、Valve Indexなど主要なVRプラットフォームへの対応が組み込まれており、VRプロジェクトをスムーズに始めることができます。
Unityも優れたVR開発機能を提供していますが、最適な開発のためには追加プラグインが必要となることがあります。XR Interaction ToolkitやSteamVR Pluginなどを使用することで、充実したVR体験を構築することが可能です。
ゲーム以外の用途
Unityは、自動車設計、建築、都市計画、製造シミュレーションなど、ゲーム以外の産業でも広く活用されています。Unity Industrialという専用ソリューションも提供しており、産業用アプリケーション開発の敷居を下げています。
Unreal Engineも映画制作、建築ビジュアライゼーション、バーチャルプロダクションなどの分野で使用されています。特にUnreal Engineの「メタヒューマン」のような高度なデジタルヒューマン作成ツールは、映像制作やインタラクティブエクスペリエンスの分野で革新をもたらしています。
エンジン選びのポイント:よくある質問
Q: プログラミング初心者ですが、どちらのエンジンが適していますか?
A: プログラミング初心者であれば、Unreal Engineのブループリントシステムの方が取っつきやすいかもしれません。ノードベースの視覚的なプログラミングによりコードを書かなくてもゲームロジックを作成できます。
ただし、長期的にはプログラミングスキルを身につけることをお勧めします。Unityの場合はC#から始めると良いでしょう。
Q: モバイルゲームを開発したいのですが、どちらが適していますか?
A: モバイルゲーム開発ではUnityが若干優位かもしれません。軽量で、最適化されたモバイルパイプラインを持っており、より多くのモバイルゲームがUnityで開発されています。ただし、Unreal Engineも近年モバイル対応を強化しており、高品質なモバイルゲームの開発も可能です。
Q: 長期的な視点でキャリアを考えた場合、どちらのエンジンを学ぶべきですか?
A: これについては結局両方に触れることがその答えかと思います。。業界ではどちらも広く使用されていてゲーム開発の基本原則は共通しています。
時間や資源が限られている場合であれば、作りたいゲームの種類や就職したい企業の使用エンジンに合わせて選ぶと良いでしょう。AAAタイトルを目指すならUnreal Engine、インディーゲームやモバイルゲームを手がけたいならUnityが一般的です。
まとめ:あなたのプロジェクトに最適なエンジンは?
Unreal EngineとUnityはどちらも優れたゲーム開発エンジンであり、それぞれ異なる強みを持っています。選択は、プロジェクトの要件、チームのスキルセット、予算、そして目指すプラットフォームや視覚的なスタイルに大きく依存します。
Unreal Engineは視覚的な品質とパワーが必要なプロジェクトに最適である一方、Unityは多用途性と使いやすさが特徴です。どちらを選んでも、素晴らしいゲームを作る可能性は無限にあります。最終的には、両方のエンジンをテストしてみて、あなたとあなたのチームにとって最も使いやすいものを選ぶことをお勧めします。

